夜の中庭に浮かぶ、冬のひとひら

夜の帳がそっと降りた中庭は、昼とはまるで別の顔を見せていました。 静寂の中に灯るわずかな光が、木々の影を柔らかく揺らし、 その空間全体がどこか夢の底に続いているような、幻想めいた気配をまとっています。

そんな夜の中庭の奥で、ふと目を奪われるものがありました。 冷たい空気の中、ひっそりと、それでも誇らしげに咲くカンツバキ。 淡い光を受けて花びらがほのかに輝き、 まるで闇の中に浮かぶ小さな灯火のように、静かに存在を主張していました。

冬の寒さに身を縮めるような夜でも、 その花だけは凛とした姿を崩さず、 中庭の美しさをさらに深く、静かに彩ってくれているようでした。

その光景に出会えたことが、 心の奥にそっと温もりを灯してくれた気がします。

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